焼き物に魅せられて・・・。
Hさんご夫妻(slowner2005年3月号掲載)
焼き物に魅せられて。
新たな一歩を踏み出しました。
▲左:H邸の母屋と工房。右:奥様の工房は「素月苑」と名付けられています。
流れる汗や疲労感が心地良かったんです
大金台に居を構えられて27年目を迎えたというHさんご夫妻。ご主人は残念ながらご不在でしたが、ここで焼き物に情熱を注いでいる奥様にお話をいろいろと伺いました。
元々は東京でグラフィックデザイナーをされていたという奥様。立体の勉強にと粘土を練習されたのが焼き物に魅せられたきっかけだとか。「体を使いますから、流れる汗や疲労感が心地良かったんです。子供の頃の泥遊びの感触も思い出しました。それからグラフィックデザインもいいけど、何か違うなと思って。それで焼き物やるのなら別に東京にいる必要もないなと思ったんです」
▲「素月苑」に置かれている作品の一部。土の持つ暖かさが伝わってきそうです。
1年早く再デビュー
烏山町(現那須烏山市)に移り住んだ奥様は馬頭町(現那珂川町)の製陶所に入門。毎日自転車で20qかけて通われたそうです。「女性が焼き物を目指すこと自体珍しい頃でしたからね。益子町の窯業指導所に行った事もありますし、備前で3ヶ月修行したこともあります」と、大変な経験を楽しそうに語られます。そして烏山町(現那須烏山市)で知り合ったご主人とご結婚。数年後、大金台へと住まいを移されたのです。
「大金台で確か7件目。寂しかったですよ。小さい子供もいましたし。親戚とかもよくこんな所に住むなぁ、と言ってましたが、今はうらやましがっています(笑)」
その後は子育てをメインに専業主婦に徹せられたという奥様。創作活動を本格的に再開されたのは最近のことだとか。「本当は50歳で再デビューって言う予定だったんですが、声をかけてくれる方がいて1年早まってしまいました。準備期間に10年はかかったかしら。お金がないんで(笑)、道具のほとんども中古や主人と一緒に作った手作りです。でもその工夫が楽しいんですけどね」と奥様は笑われます。
▲ちょうど地元の信用金庫で個展が開かれていました。
子どもたちのパワーに驚きました
田舎に来て、子どもたちのパワーに驚いたという奥様。「たぶん、お父さんやおじいちゃんに聞いて育っているからでしょうけど、実に知恵と知識が豊富です。カブト虫がどこにいるか、幼虫のいる木は臭いでわかるって言います。明日のお天気なんかも結構当てますしね(笑)。この工房を主人がいろいろ改良しているときも手伝ってくれて、ホント素直でいい子ばかりです。これも田舎ならではなんでしょうか」
主に食器・花器を作られている奥様。くぬぎやナラ、松、山桜等を工房で一冬燃やして釉薬を作られるそうです。それを1300度で還元焼成すると緑色になり、よどみは「ビードロ」、流れた景色は「涙のしずく」といわれる美しい紋様になります。「ここ2〜3年ですね。ある程度コンスタントに出来るようになったのは。焼き物は手抜きをすれば、手抜きの結果がはっきり出ますので、厳しいけど楽しい世界です」
奥様の創作活動、そして暮らしは、さまざまな形でサポートして下さるご主人と共に、自然の恵みを受けながら着実に続いていきそうです。
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