弘法大師が修行した場所や奇跡を行った場所に建てられた八十八カ所の霊場を巡ることにより、人間の持つ八十八の煩悩を取り除くという修行の旅である「四国八十八ヶ所巡り」。何かと生きることが難しくなった現代社会、多くの人がそれぞれの癒しを求めて巡礼に訪れます。四国は弘法大師生誕の地であり、八十八カ所以外にも大師に由来のあるたくさんの霊場が開かれ、それらは「番外霊場」と呼ばれ人々からの信仰を集めています。その中でも大師と縁の深い寺院二十カ寺を集め、八十八カ所巡りを終えてこの二十カ寺を巡ると合わせて百八ヶ寺となり、百八の煩悩を滅することを目的とした「別格霊場」が創設されました。 別格霊場第七番「金山出石寺」は、猟師が鹿を追って山に登り、正に射殺そうとした瞬間全山が鳴動し、鹿の立っていた足下の岩から光と共に金色に輝く千手観音菩薩と地蔵菩薩の像が地中から現れたという云われを持っています。別格霊場の本山として中国・九州地方にも多くの信者からの信仰を集め、年間多くの信者が参拝に訪れます。 標高820mの金山山頂を境内とする出石寺の周辺は、瀬戸内海国立公園に属する県指定の屈指の名勝地の一つ。今でも冬は積雪のために通行止めになることもある険しい山道を、その昔、人と動物の力だけで資材を運び上げ、このように立派な寺院を建立するのは大変なことだったでしょう。動物さえ大きな鳴き声をあげることを遠慮するような静けさの境内は三段に分かれ、重厚な美しさを持つ堂塔伽藍が立ち並び、思わず背筋がピンと伸びるような霊気が漂っているように感じます。本堂からは大洲盆地を見渡せ、背後には石鎚山系・大野ヶ原・鬼ケ城などの連山を、反対側は伊予灘を隔てて中国・九州までの遠景を望むことができ、周辺の四季折々に変化を見せる自然の景観は素晴らしいものがあります。特に秋から冬にかけての雲海と朝日は、まるでこの世のものと思われぬほど美しく、人間の力の及ばない荘厳で神秘的な光景を創り出してくれます。宿坊もあり、希望すれば泊まることもできるので、神様の作り出す自然の美しさに触れ、心を磨いてみてはいかがでしょうか?
片目地蔵 お願いごとをすれば一つ叶えてくれるという。お地蔵さんの周りに積まれた石には絵馬のように願い事が書かれている。ご利益があるということで参拝する人が絶えない。
今回、ご紹介した 「金山出石寺」 は、佐田岬リゾートから八幡浜・大洲方面へ約42.6km、車で約80分