伊達十万石として栄えた宇和島の街は城下町の風情を色濃く残し、各所に史跡・文化財を見ることができます。宇和島城を中心に配した市内には、藩主伊達家に由来した神社・仏閣や公園など見どころが多く、車で回るよりも自転車や徒歩でゆっくりと巡りたい街です。
天赦園は、伊達政宗公の「馬上に少年過ぎ 世は平らかにして白髪多し 残躯は天の赦す所 楽しまずんば是を如何にせん」という漢詩から命名された、七代藩主宗紀(むねただ)〈号:春山〉が1866年に造った池泉回遊式の庭園で、国から「名勝」の指定を受けています。鬼ケ城山を借景とした11,240平方メートルもの大庭園は入り組んだ形に造られた池を中心に、様々な植物や石、茶室などが配置された意匠が凝らされ、池に沿って小径が園内を巡りいろいろな角度から庭園を観賞できるようになっています。伊達家の先祖が藤原鎌足であるというところから、園内には6基の藤棚が造られ、藤の季節には紫と白の花がみごとに咲き誇ります。特に太鼓橋式の藤棚には白玉上り藤が、まるで「虹の架け橋」のように花をつけ、水面に映るその姿は例えようもないほど美しいものです。また伊達家の家紋が「竹に雀」であることから春山は竹を愛し、亀甲竹・黒竹・四方竹・蓬莱竹・泰山竹・熊笹など、全部で22種類もの竹や笹が植えられていています。その他にも春の桜やツツジ、6月の花菖蒲、秋の紅葉など四季折々の美しい自然が人々の目を楽しませ、心を癒してくれます。池の畔に建てられた書屋「春雨亭(はるさめてい)」は愛書家の春山が、書を楽しみながら余生を過ごしたところで、障子の向こうに庭園を望み、しっとりとした素晴らしい景観が眼前に広がります。この建物は釘を一切使用しないで造られた貴重な建物で、匠の技の素晴らしさに驚かされます。もう一つの建物は「潜渕館(せんえんかん)」といい、書院式の茶室になっています。子孫繁栄を願う陰陽石を配すなど、春山の想いがよく現れているところでもあります。庭園全体が、木や石、水を使って作庭者の様々な意思を表現してくれているのです。
注)池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)とは
池、築山(つきやま)を中心にして園内を回遊できる庭園。江戸時代の大名屋敷に代表される庭園の造り。
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財団法人 宇和島伊達文化保存会
愛媛県宇和島市御殿町9-9
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