11月に入り、紅葉に染まった山々にも少しずつ冬の気配が忍び寄っています。南九州とはいえ1000メートル級の山々を有する霧島の冬は厳しく、そろそろ冬支度が必要なようです。 さて、今回ご紹介するのは、霧島の東側に隣接する曽於市財部町の食事処「古里庵(こりあん)」。古い米蔵を改装したという和風情緒あふれるお食事処で、地鶏の炭火焼や自家製野菜、手打ち蕎麦などがいただけます。また、1200坪もの広い敷地内には、築130年あまりの古民家で昔ながらの田舎暮らしを体験できる農家民宿「昔ばなしの宿」も建ち、田舎のおばあちゃんの家に里帰りしたようにゆったりとした時間と温もりが待っています。
龍馬も歩いた街道に面した昔ながらの家 「JR財部駅から徒歩で3分」と聞き、街中を想像していたのですが、意外にもそこは昔ながらの路地の風情が残る静かな一角でした。なんでも昔は豪氏の集落だったそうで、今もいくつか残る石塀や屋根付きの立派な門にその面影がうかがえます。 「正門前の道は昔の街道で、坂本龍馬が新婚旅行の時にそこを歩いたそうですよ」と話すのは、「古里庵」のご主人、久長博行さん。久長家は代々続く豪氏の一族で、博行さんはその11代目だそう。堂々たる構えの正門をくぐると、そこには昔の武家屋敷に入り込んだような空間が広がっていました。
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四季折々の風情が楽しめる庭 緑豊かな庭には柿、栗、梅、はっさく、みかんなど季節の実りや花が楽しめる木々があちこちに。木陰の奥を見るとそこにはしいたけの原木。緑の間からはツワブキの花の鮮やかな黄色が見え隠れしています。「春になると、フキノトウや竹の子、セリなども出てきますよ」と久長さん。日本古来の野山をそのまま移したような四季折々の自然が楽しめる庭です。敷地内の畑で季節の野菜を育てているほか、近くには田んぼや畑もあり、米や野菜はすべて自家製だそう。味噌や甘酒なども家族で手作りしています。敷地内には井戸が3ヶ所もあり、毎日のご飯はこの井戸水を汲んで、かまどで炊いているのだとか。現代の私たちが失ってしまった昔ながらの素朴な暮らし方が、ここには息づいていました。
地産地消の食事処「古里庵」 一度は財部町を離れて就職した久長さんが、長年勤めた会社を辞めて故郷に戻ってきたのは42歳の時でした。先祖から受け継いだ広い土地と家屋敷、緑豊かな環境、地元で採れる安全で豊富な食材、先人達から伝わるものづくりの知恵と知識・・・。故郷にあったこれらの大切な“財産”を活かし、地産地消の食事処「古里庵」をオープン。地元の契約農家から仕入れる朝締めの地鶏や自家製野菜などを目の前の囲炉裏で焼いて食べる炭火焼をメインに、毎日ご主人が打つ蕎麦などがいただけます。古い米蔵を改装した昔懐かしい佇まいの座敷からは、四季折々の庭が見渡せてゆったりとした気分に。
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あるがままの田舎暮らしをともに楽しむ おいしいものをお腹いっぱい食べて、お酒も飲んで、畳の上にごろりと横になっていると、「このままここで眠りたい・・・」と思うもの。そんなお客さんの声から生まれたのが、農家民宿「昔ばなしの宿」だったそうです。敷地内に建つ築130年あまりの古民家の二間を開放し、宿泊や昔ながらの生活体験ができるようになっています。ここは久長さん夫婦の生活の場でもあるそうで、「あるがままの農家の暮らしを一緒に体験するのが“民泊”の醍醐味です」と久長さんは話します。お客様として一方的にもてなされるのではなく、そこの家族と一緒に食事の支度をしたり、薪でお風呂を沸かしたりする“生活”そのものが“農家民泊=アグリツーリズム”の魅力なのです。敷地内の母屋に住む久長さんのご両親から“昔ばなし”を聞くのもいいですね。
いろんな人との交流が楽しい 「食事処や農家民泊を始めて、いろんな人と出会いました。会社員をしていたら一生出会わなかったような人とも知り合えて、交流が生まれるのが楽しいですよ」と笑顔を見せる久長さん。四季折々の自然を肌で感じ、新鮮で豊富な食材に恵まれ、刺激を与えてくれる人との出会いや交流が生活を彩る暮らし。故郷での第二の人生は、久長さんに新しい喜びをもたらしたようです。 「本当の豊かさとは何だろう・・・?」何かに追われるように慌しい日々を過ごしていると、ふと、そんな疑問が心をよぎることがありませんか。そんな時はここに来て、縁側に腰掛け、ただぼんやりと庭を眺めていると、答えが見つかるかもしれません。
●農家民泊「昔ばなしの宿」● 1泊2食 10,500円(体験メニューは別途1,500円) チェックイン15時 チェックアウト10時
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