澄んだ空気の中にほんのりと甘い金木犀の香りが漂い、コスモスの群生が秋風に揺れています。日中の暑さもようやく和らぎ、心地よい季節となりました。 今回ご紹介するのは、10年前、東京から鹿児島市喜入町の集落に移住して田舎暮らしを楽しんでいるご夫婦が、週に3日間だけ自宅と庭を開放している素敵な喫茶店「野外喫茶・里山」です。 東側に海、西側に山々をのぞむ小高い丘の上に建つ「野外喫茶・里山」におじゃますると、ちょうど目の前に広がる棚田では黄金色に光る稲穂が収穫の時を待っていました。まさに美しい里山の秋の風景です。
四季折々に楽しめる雑木林や小川もある広大な土地 穏やかな笑顔で迎えてくれたご主人に案内していただいて、まずは広い敷地の中を散策することに。1000坪以上あるという土地はまさに山あり谷ありの起伏に富んだ形状で、耳を澄ますとどこからか水の流れる音も聞こえてきます。ご自宅の裏に広がる雑木林を奥に進むと現れたのは清らかな渓流。「ここは春になると、タラの芽、ワラビ、フキノウトウ、ツワブキなどの山菜もたくさん採れるんですよ」とご主人は楽しそうに話してくれました。森の中ではシイタケも栽培しているそうです。 藪払いから始まって、ご夫婦でコツコツと開墾したという菜園も今では300坪に。季節ごとの野菜や果実、ハーブなどを無農薬で栽培し、豊かな自然の恵みが日々の食卓を彩ります。
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ご夫婦で手作りしたイングリッシュガーデン そして、ご自宅の周囲に広がるのは様々な種類の花や草木が彩る見事なナチュラル・ガーデン。初夏になると芳香を漂わせるというバラのアーチや、白い天使の置物などが英国風の庭を思わせます。ここに移住してから本格的なガーデニングを始めたというご夫妻ですが、以前訪れたイギリスで出会ったナチュラル・ガーデンへの憧れがこの美しい庭作りへのきっかけとなったそう。 緑の芝生の上にはベンチやガーデンテーブルセットが置かれ、「野外喫茶・里山」がオープンしている日には、好きな場所でのんびりお茶を楽しむこともできます。お天気がよい日は遠くに錦江湾や山の稜線も望めるこの庭で、四季折々の花や緑に癒される幸せなティータイムが過ごせそうですね。
50歳で実現させた憧れの田舎暮らし 東京で暮らしていたご夫婦が、ずっと憧れていた自然の中での生活を始めたのは1999年・元旦のこと。「定年退職してからでは体力がついていかないから」と、ご主人が50歳という節目を迎えた年の決断でした。鹿児島市内の出身だというご主人ですが、特に故郷に帰るというつもりはなく、信州などに移住先を探していたそう。ところがたまたま訪れた喜入町で、遠くに海も山の稜線も見渡せる土地に出会い、故郷へのUターンを決意したのです。 東京で生まれ育った奥様にも、長く東京で暮らしたご主人にとっても、大自然に囲まれた暮らしは何もかもが新鮮で、驚きや喜びの連続。地元の老人などに教えられたり、独学で身に着けたりした知識をもとに庭作り、菜園作り、杉の間伐材を使っての小屋作りなど次々と人生初めての体験に取り組んでいきました。
「野外喫茶・里山」のオープンで広がる人の輪 コツコツと時間をかけ、楽しみながら作ってきたナチュラル・ガーデンや自給自足できる菜園が出来上がりつつある中、「この庭でのんびりお茶が飲みたい」という友人の言葉をきっかけに、週3日間だけ喫茶店として庭と自宅の一部を開放することに。この「野外喫茶・里山」のオープンによって、いろんな人が訪れるようになり、交流の輪が少しずつ広がっていきました。田舎暮らしに憧れを持つ人々も訪れ、お二人の暮らしぶりに刺激を受けて、実際に霧島に移り住んで喫茶店を始めたご夫婦が2組もいるそう。
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地元にも溶け込み、豊かな人間関係を築く また、ご主人が「私よりもずっと人付き合いがうまい」と評する奥様は、移住してから習い始め、資格まで取った太極拳や、以前から続けていた読み聞かせの講師として公民館で講座を持ったり、食生活改善グループに参加したりと、様々な活動を通してすっかり地元に溶け込んでいる様子。一方のご主人も前職の経験を活かして中・高校生に勉強を教える私塾を自宅で開き、地元の子ども達をサポートしています。 季節に追われるような畑や庭の仕事、ご主人の私塾経営や奥様の活動や趣味、週3日の喫茶店にと忙しい毎日を送るお二人の生活に、昨年からは「石釜でのパン作り」という新しい試みが加わりました。
手作りの石釜、天然酵母で作る人気のパン インターネットなどで独学し、2ヶ月掛かって完成した手作りの石釜に薪をくべ、天然酵母とわざわざ東京から取り寄せる国産小麦粉で作ったパンを焼くという本格的な石釜パン。香ばしい匂いと素朴な味のパンは、「野外喫茶・里山」がオープンする水・土・日曜日だけの限定発売なので、アッという間に売り切れてしまうそう。ご主人は「最近はパンを楽しみに来てくださる方が増えて、私たちが食べる分が残らないんですよ」とちょっぴり残念そうでした。 「野外喫茶・里山」では石釜パンとスープ・サラダ・ドリンク付きのランチの他、奥様の手作りケーキや庭で摘んだばかりのハーブティーなどもいただけます。田舎暮らしに憧れる方、美しい庭でのんびりしたい方、香ばしい焼きたての石釜パンが食べたいという方・・・。お天気のいい休日には、「野外喫茶・里山」を訪ねてみられてはいかがでしょうか?
●『野外喫茶・里山』メニュー ・コーヒー、紅茶、ハーブティーなど 300円 ・ケーキセット 400円 ・石釜パン・パスタランチ 800円 ・持ち帰り用の石釜パンセット(5種類) 500円 ※ランチ、石釜パンは予約をした方が確実です。
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