 ゆったりと緑に囲まれたドイツの町に長年住んだ谷口さんは、帰国後の住まいに大山の別荘地を選んだ。木々の間から大山を眺める静かな環境には、ドイツの町に通じる落ち着きがあるという。しかも日本海が近くて食べ物がおいしい。そこにはドイツにもまさるぜいたくな暮らしが待っていた。 ■<写真>緑に囲まれた森林住宅は散歩すれば、野鳥のさえずりが聞こえてくる。 |
■<写真>新居のテラスで。ドイツ的な雰囲気にデザインした家は大山の風景に似合う。 (欧州を思わせる森と山の風景) 「大山は空気も水もおいしいですし、鳥も多いでしょう。それに夏の朝にはあちこちでヒグラシが鳴いてうるさいくらいです。セミの声で目覚めてジョギングをして、それから仕事に出かけるんですよ」
と語る谷口豊武さん(55歳)は奥さんの秀子さん(53歳)とともに今年6月から大山の分譲地に定住している。ここに住む以前は自動車部品メーカーの技術者として28年間ドイツに暮らしていた。
「2年間のつもりで行ったんですが、結局長くなってしまいましてね」
と笑う谷口さんだが、どいつでの生活は想像以上に恵まれていた。まず、通勤ラッシュにもまれることがない。残業もない。小学校から大学まで子供の教育費はタダ。そして週末には市民菜園を存分に楽しんだ。
「クラインガルテンといって町のなかのマンションから20〜30分ほどの、ほんの郊外にあるんです」
日本の市民菜園は1区画せいぜい10坪(33平方メートル)前後だが、ドイツのそれはケタが違ってひと区画300平方メートルほど。各人が敷地を生け垣で囲い、区画の半分を菜園に、残りを作業小屋と芝生のくつろぎスペースにして、ここでゆったりと畑仕事をするのだそうです。
「私も小屋を建てましたよ。屋根張りや壁塗りを自分でしてね」
そんな暮らしが気に入った谷口さんは、ずっとドイツに住んでもいいと考えた。だが、秀子さんはいずれ日本に戻りたいと思っていたという。
「ケーキと紅茶よりも和菓子とお茶なんですね。私も25年間ドイツに住みましたが、それでも日本食のほうがからだになじむんですよ」
結局、谷口さんは鳥取にできた日本の研究所に移ることにした。
「それまで日本の研究所は神奈川だったんですが、東京の近くではとても住めません。でも、鳥取ならばと帰国したんですよ」
そして会社の工場長に「ここはいいぞ」と勧められたのが大山の分譲地。見に来て一目で気に入った。
「山と森の雰囲気がドイツやオーストリアに似ていたんですね」
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 ■<写真右上>出勤前に軽くジョギングして汗を流す。気持ちのいい習慣。 ■<写真右下>谷口さんの趣味はカメラ。若いころからの写真はきっちり整理されている。これからは大山の風景と暮らしを記録するつもりだ。 ■<写真左上>ドライフルーツやハーブをミックスしたドイツのお茶。さまざまな種類のなかから季節や時間に合わせて好みのものを選ぶのは楽しい。 ■<写真左下>ドイツに住む同僚や娘さんともメールで近況を伝え合えば、距離を感じることがない。 |
(海の幸・山の幸はドイツにはない魅力) こうして帰国して住んでみると、大山での暮らしは快適だった。「会社までは来るまで25分、渋滞もなく行けます。そして何より食べ物が美味しい。海のものと山のものの両方が手に入るでしょう。特に魚は新鮮です。年をとったらパンとソーセージよりも魚ですよ」 大山といえば観光スポットとしても知られている場所だけに、普段は静かな生活を送りながら、気が向けばしゃれたレストランで食事もできる。これも大きな魅力だ。
「おいしいビールが飲みたいときは、ビアレストランまで歩いていけます。まあ、ドイツのように安くはありませんけどね」
日常の買い物も意外と便利だと秀子さんは言う。
「野菜なら700メートル先のガーデンプレイスで手に入りますし、車で10分も走ればスーパーもあります」
さて、ドイツでは生け花や日本の料理を教えていた秀子さんは日本では逆にドイツの暮らしのよさを伝えていきたいと考えている。
「数週間前から予定する正式なティーセレモニーもありますし、仲よくなるためにちょっとお茶に呼ばれる習慣もいいものですよ」
そして谷口さんが注目するのはパソコンである。ドイツにいる友人や子どもたちとはインターネットでやりとりしている。
「インターネットを通じて大山の暮らしを伝えていけたら、また楽しいだろうと思っているんですよ」
ドイツでの経験を生かして谷口さん夫婦の洗練された暮らしは、大山の自然のなかにしっかりと根を下ろしはじめていた。
■<写真上>地ビールを出す「大山ビアガッセ」までは家から700m。散歩を兼ねてときどき訪れている。 ■<写真下>住宅地のすぐ下、大山ガーデンプレイスには地場の朝穫り野菜がいっぱい。
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